研修目標
乳がんは女性のがんとしては第1位の罹患部位であり、広く研究が進んでいます。乳腺疾患の特徴を簡単に言うと下段に示したようになります。このがんを広い視野より研究し、全人的立場より診療する医師を育成することが基本目標です。
そのための専門的技倆修得と、臨床的課題に立ち向かえる研究者であるための基本的な要件の修得が教育目的となります。
前者については、診断、外科的治療、内分泌療法、化学療法などの集学的治療を担当する者として求められる幅広い知識、技術と乳腺専門医資格取得に必要な要件を修得させます。同時に、病院の精度管理、倫理、医療安全に貢献できる能力を教育します。
後者については、各種の解析技術を導入して、乳がんを直接の対象とした、本態解明および診断ならびに治療にかかわる研究を行う能力を修得していただきます。資格としては、マンモグラフィ読影医、がん治療認定医、乳腺認定医、および乳腺専門医の資格を取得することを目的とします。
社会的背景(1:乳がんの特徴)
- 他のがんに比べ、若年者が多い
- 乳がん罹患率は増加している
- 乳がん死亡率もわが国では増加している
- 死亡率/罹患率は他のがんに比して低い
- 予後が良好。ただし、10年以降も再発がある
- 再発後も経過が長い。
- Oncology(腫瘍学)のモデルであり、基礎研究、Translational research、臨床研究とも進んでいる
- 他のがんにない特徴として、ホルモン療法が有効である
- 検診が有効であることが示されているがんである
社会的背景(2:乳腺診療の特徴)
- 画像診断から化学療法まで幅広くてがける
- 専門医制度が確立している(マンモグラフィ読影医、乳腺疾患専門医)
- 「乳腺外科」として標榜可
- 集学的治療のため幅広い知識が要求される
- 手術は縮小化、全身治療は拡大化
- チーム医療が必須
- ガイドラインが発達している
- エビデンスの蓄積速度が速い